観た映画と生活の記し

20200601

5月後半は22本映画を見た。

緑の光線』(エリック・ロメール,1985)『満月の夜』(エリック・ロメール,1984)『彼女について私が知っている二、三の事柄』(ジャン=リュック・ゴダール,1966)『聖者たちの食卓』(フィリップ・ウィチュス,2011)『光陰的故事』(タ・ドウツエン,エドワード・ヤン,コ・イーチョン,1982)『飛行士の妻』(エリック・ロメール,1980)『 Pina ピナ・バウシュ 踊り続けるいのち』(ヴィム・ヴェンダース,2011)『暗殺の森』(ベルナルド・ベルトルッチ,1970)『パプリカ』(今敏,2006)『さざなみ』(アンドリュー・ヘイ,2015)『恋恋風塵』(ホウ・シャオシェン,1987)『淵に立つ』(深田晃司,2016)『野獣死すべし』(村川透,1980)『北野武 神出鬼没』(ジャン =ピエール・リモザン),1999)『海辺のポーリーヌ』(エリック・ロメール,1983)『トリコロール/青の愛』(クルショフ・キエシロフスキー,1993)『心と体と』(イルディコー・エニェディ,2017)『監督失格』(平野勝之,2011)『道』(フェデリコ・フェリーニ,1954)『幸福の黄色いハンカチ』(山田洋次,1977)『ジェファソンの東』(深田晃司,2018)『恋人』(市川崑,1951)

なんでこんなにロメールをたくさん観ているかと言うと、ザ・シネマのサブスクリプションサービスに入ったから。作品数は少ないけど良い作品ばかり揃っていてありがたい。ロメールの他に今はホウ・シャオシェンの作品と台湾青春映画3作品が今は観ることが出来る。ロメールの映画に出てくるお部屋がどれもすごく可愛くて、私も思い立って部屋の模様替えをした。その際、一緒に棚の整理とかもしたのだけど、懐かしいCDとか、本、友達からもらった手紙がでできて、それらを眺めているうちに日が暮れてしまったりもした。こういうもの全然捨てられないタイプなので部屋の中のものたちがどんどん増えていく。でも雑多な方が落ち着く、物に囲まれる幸福感。部屋の壁をいつか淡いブルーにしたい。

5月の前半に北野映画をいくつか観たのと、授業で蓮實重彦について触れていたのでこの機会に『北野武 神出鬼没』を観た。原題でYouTubeで検索するとフルで観ることができる。蓮實重彦の「北野映画によく海がでてくるのはなぜか」という問いに対して、北野武が自分の見る夢の話を持ち出してくるのが興味深かった。海の夢は自殺を表しているという。そう考えると、『あの夏一番静かな海』の男は海の事故で亡くなったように描かれていたけれど、実は自殺だったのではないか、と。実際にインタビューの中で、たけしの事故の話が出てきたけど、あとから自殺を図ろうとしたのではないかと気づき自分でもゾッとしたと話していた。事故の記憶が本人にはないそうなので、真相はわからないけれど。あと、蓮實重彦の写真をカメラの前にぶら下げる撮り方が斬新でちょっと笑ってしまった。

観た映画とは関係ないけれど『エトセトラ vol.3』の話をしたい。長田杏奈さんが責任編集を務めるフェミニズムにまつわる雑誌で、自分自身に関わることながら、思い返すと私はあまりフェミニズムについて考えたことがなくて。でも読み進めていくうちに、心のどこかで感じていた違和感だったり、ちぐはぐなものを肯定してくれるようだった。気のおける友達からの手紙みたい。自分の身体は、どこまでも自分のものでしかないのだよねー、当たり前だけど、この当たり前がそうでなくなってしまわないようにしたい。コロナ渦におけるフェミニズムに話もしていて、リアルタイムで、全部想像しやすい話だった。みんなに読んで欲しい。

とりとめのない話をいくつも、まとまりのない文章になってしまった。今日から東京でもいくつもの映画館が営業を再開!嬉しい。2ヶ月ほど映画館に行ってなかったので、大きいスクリーンで映画を観れること、考えるだけでワクワクする。もちろん無理のない範囲で。

紫陽花が咲いてきた、6月も健やかに。

20200524

自分で髪を切った。胸くらいの長さの髪を顎まで。こんなに切るつもりじゃなかったけど気に入っている。秋にかけたパーマが短くすることで復活してくれて、また愛着がわいた。くるっとなった毛先を光に透かしてずっと見ている。そういえば夏に髪を短くするのは初めてかもしれない。首の裏を涼しい風が通っていくのは心地がいい。髪を切って気分があがったので、借りたDVDを返却するために一駅となりのTSUTAYAまで歩いた。途中で通った公園にブラシのような赤い植物が、なんていう名前なのあの植物。プレイリストから流れてきたY.M.O.の『君に、胸キュン。-浮気なヴァカンス-』ぴったりで気持ちが良かった。それから5回くらいその曲を繰り返し聴いた。浮気な夏は今年は来ないだろうけど。

自粛期間中、必然的に自分と向き合う時間が多くなる。向き合って、自分という存在を意識すればするほどに、自分のことだけで精一杯になってしまう。つい最近ロメールの『満月の夜』を観て、空間を共有することだけが果たして愛なのか、とかちょうど考えていたけれど、実際に物語の話から飛び出して、私は今空間を共有していない他者のことを考えられていないなとそんなことでぐるぐるぐるぐるしている。想像力を持ちたい。

女性が長い髪をバッサリ切るのは失恋をしたからという話は都市伝説だと思っていたけど、髪を切ることによって、自分の考えていることをリセットしようとしたのかなと思うとどちらも似ているし、あながち間違っていないような気がする。

20200515

長い長い春休みが終わり、今月11日から大学のオンライン授業が始まった。春休み間にじっくりと時間をかけて崩れていった生活習慣がすぐに元に戻るわけもなく、今週は朝5時に就寝し、朝8時半には授業のため起床する生活。目の下にニキビができるというはじめての経験もした。(生活習慣の乱れによって目の下にできるらしい)あとここ最近は口内炎と生活を共にしている、痛い。

家で受講する授業ではあるが、不思議と気持ちは引き締まる。新年度に感じるあの気持ちはコロナ時代でも変わらないみたい。

授業の準備をしているうちに5月前半が終わってしまった。夜の散歩も心地いい風と匂い。春が終わって、もう夏の気配。

そんな5月前半に観た映画。

『ハッピーアワー』(2015,濱口竜介)『家族ゲーム』(1983,森田芳光)『東京物語』(1953,小津安二郎)『男はつらいよ』(1969,山田洋次)『東京オリンピック』(1965,市川崑)『旅のおわり世界のはじまり』(2019,黒沢清)『愛のコリーダ』(1970,大島渚)『青春残酷物語』(1960,大島渚)『COLD WAR あの歌、2つの心』(2018,パヴェウ・パヴリコフスキ)『新聞記者』(2019,藤井直人)『殺さない彼と死なない彼女』(2019,小林啓一)『天使の入江』(1963,ジャック・ドゥミ)『顔たち、ところどころ』(2017,アニエス・ヴァルダ)『戦場のメリークリスマス』(1983,大島渚)『マーサ、あるいはマーシー・メイ』(2011,ショーン・ダーキン)『都会のアリス』(1973,ヴィム・ヴェンダース)『ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ』(1999,ヴィム・ヴェンダース)『恐怖分子』(1986,エドワード・ヤン)『プロミスト・ランド』(2012,ガス・ヴァン・サント)『あの夏、いちばん静かな海。』(1991,北野武)『その男、凶暴につき』(1989,北野武

計21本観たが、そのうち『ハッピーアワー』『天使の入江』『恐怖分子』北野武作品2本以外は、すべて配信で観た。映画館に行けない今、サブスクリプションの恩恵を浴びまくっている。作品自体の良し悪しとは別に、今一番の欲求を満たしてくれるのはロードムービーなのでは、と『都会のアリス』を観ながら思った。

とにかく時間をどう埋めるかを考えている。3月や4月は何もしたくなくて眠ることでしか埋められなかったけど、どうにか本を読んだり、映画を観ることができるようになった。時間を埋めるのに精一杯だけど、時間が足りなくも感じる。どっちつかず、ずっとむかしからのこと。